2023年07月18日
2023年08月10日
グラフィックデザイン
社史編纂を通したインナーブランディング成功のためのヒント
見直される社史の発行
テレビドラマで「閑職の象徴のように言われる社史編纂室…」社史の編纂をする部署は左遷されたサラリーマンの墓場のように描かれているのを見た人も多いのではないでしょうか。
企業の売り上げにも貢献しない、出世争いにも無縁な無駄な部署と思われていたのは昔のお話。勢いのある先進的な企業では社史の発行が見直されているという驚きの話題をご紹介します。
インナーブランディングに社史が最適
ブランディングとは独自のブランドを作り、これに対する信頼や共感を通じて自社の価値向上や他社との差別化などを目指すマーケティング戦略の一つです。ブランディングは商品やサービスを売る企業にとって、重要なビジネス戦略のひとつで、ブランディングに成功すると、ビジネスを有利に薦めることができると言われています。
一方インナーブランディングとは、自社の企業理念やブランド価値を社員に伝えて浸透させる活動です。 一般的に、ブランディングは社外に対して行うのに対してインナーブランディングは社内に向けて実施します。 この活動を行えば社員の企業に対するイメージが向上し、企業活動に良い影響を与えます。このインナーブランディングのため最適なツールとして社史が再評価されているのです。
社史成功の必須条件とは?
中小企業白書2011によると、起業してから「10年後には約3割の企業が、20年後には約5割の企業が撤退」しています。つまり社史を発行できるということは熾烈な生存競争を生き残ってきたことの証しと言えるでしょう。
その一方で、会社の歴史が長くなると、「創業者の想いや会社の理念は従業員に伝わっているのか」「従業員たちは自社の強み、本当の魅力を理解できているのか」「未来への展望は社内に浸透しているのか」といった悩みを抱く経営層もいるだろう。社史の編纂は、会社の軌跡をたどり、一体感の向上に生かすまたとないチャンスです。社内の全部署から人を募り編纂作業に携わらせる。あるいはコンテンツの取材対象としできるだけたくさんの社員が登場する。社内報や朝礼、ミーティングの場を借り進捗の報告や意見の集約など社員の参加機会を増やすことで、「みんなの社史」という意識を高めることが社史成功の必須条件となります。
社史の企画に必要な6つの条件
社史を作るうえでいくつかの大切なポイントがあります。ここではそれを7つ挙げて紹介します。これらが定まって初めて具体的な編集方針の検討や設定ができるからです。社史の発行をご検討の皆様はここからスタートしましょう。
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When いつ完成なのか?
まずはいつ発行を目指すのかゴールを決めましょう。ゴールが見えるからこそどんなペースで作業を進めるのか、材料を準備するタイミングやその進捗確認などすべての作業が可視化できるのです。
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What 目的は何か?
社史の目的と性格を決めます。完成した社史を「拡販のための営業ツール」に使うのか、「在職社員の教育」に使うのか、はたまた「OBや旧経営者の懐古」のためなのか。目的によって必要となる情報が変わってしまいます。また創業者(経営者)の記事ばかりとなると社史と呼ぶより創業者の伝記になりかねません。
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Why 理由は何か?
理由つまりなぜ社史を発行せねばならなかってのかという発行の原点です。原点が不明瞭な成果物は何の感動も与えない、言い換えれば主な読者である従業員にも読まれないものになりかねません。
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How much 予算はいくらか?
社史の発行にいくらの予算をかけるのかを決めましょう。この場合予算ありきで例えば、予算を¥1,000万円とし、印刷や配布に¥200万円、編纂作業に¥400万円、取材や原稿作成に¥300万円、雑費が¥100万円費用がかけると決めたうえで、どんなコンテンツが実施可能か?撮影の日数は?インタビューの人数は?と内容の検討を行う手法と、一方理想とする社史に必要なコンテンツはこれで、そのために必要な日数や人数はどれくらいかと理想の中身を確定させて、結果予算がいくらかかるかを算出する方法があります。
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Who 誰が何を担当するか?
社史の企画から完成までをたった一人で担当するのは不可能です。編集責任者を決めたうえで、各コンテンツをだれが担当するのか?あるいは取材から原稿作成、内容のチェックなど各工程に合わせた人員配置にするのか?いずれにしろ編集委員会とも呼べる複数の編集委員を誰がするのか?何を担当するのか?を明確に決める必要があります。
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How どうやって作るか?
編集委員会のメンバーを定めたとはいえ、本業を抱えた従業員様だけですべての工程をつつがなく進め完成にたどり着くのは至難のわざと言えるでしょう。取材や編纂のプロ、印刷や装丁のプロなど外部のブレーンを起用する場合も、どんな実績をもち、どんな構想を提案し、いくらの予算で委託が可能なのかを吟味することが必要です。
以上の6つの条件を決めずに編纂作業を始めてしまうとその途中で迷走し方向返還を余儀なくされる恐れがあります。そうなると時間やコストのロスが生じます。これらについて事前に十分に検討しましょう。